2008/10/13

空回りの空騒ぎ~2008年度ノーベル賞

今年度のノーベル物理学賞、化学賞で計4人の日本人受賞者という話題で世のなか、盛り上がっているというか、空回りしているというか。
なんだか違和感を感じていたのだけど、そこらへんをカッチリと書いてくれている記事を紹介します。

日本にノーベル賞が来た理由・幻の物理学賞と坂田昌一・戸塚洋二の死
~伊東乾の常識の源流探訪 : Nikkei Buisiness Online
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081009/173322/

このサイト、会員登録をしないと読めなかったりするんで、ざっと問題点を整理すると、今回の2002年の受賞者、小柴昌俊氏の後継者にノーベル賞を授与し損ねたということの挽回的な面が指摘されていて、それだけでなく南部陽一郎氏や下村脩氏を日本の研究者と位置づけることに疑義を呈しています。
その過程で日本人が関わった素粒子論研究についてきっちりとおさえていて、普通のTVニュースや新聞報道からは読み取れない事実関係が記されています。
ノーベル財団は授与すべき業績を持つ日本人が死んでしまったことで(ノーベル賞は死んだひとには授与できない)、その成果への授与の記録を残せなくなってしまった。その挽回の意味もあって、87歳という高齢の南部陽一郎氏を選出した。
そして、伊東乾氏は、物理学や化学でないもっと広い分野で立派な業績を残しているひとがたくさんいることを指摘しつつ、この日本の盛り上がりを「後進国根性」と記してます。

まあ、ぼくの違和感はそういった根拠のある正当なものではないんですが。
今回の受賞の街頭インタビューで、「日本人、やっぱりすごい」みたいなことをみんな云うんだけど、どれも昔の業績じゃん。
確かに受賞者はそれに値する立派な科学者なのだと思うのだけど、彼らが育ってきたような土壌を今の日本はすっかり失ってしまっているんじゃない? それを思ったらよろこんでいる場合じゃないでしょう。
今朝のニュースで今回の受賞で科学への関心が回復みたいなことを言っていたけど、今だけの気分の話でしょ。
もはや工業生産では世界をリードできないのだから、徹底的な知的集約でしか先進国として生き延びる道はないのではないかと思うのだけど、どうでしょう。
……それは、アニメやゲームの輸出ではないと思うんだよね。

と、まあ、偉そうなことを書いてしまったのだけど、それでは何をするべきなのか、自分に何ができるかとなると、う~ん、何もないなぁということになるわけで、空回り、空騒ぎをしているのは、ほかならぬ自分自身だったわけなのです。反省。


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