2008/10/06

Renaissance、そして20周年~アードベッグ・ルネッサンス

ルネッサンスといっても、乾杯ではなく。でも、お酒の話。

まもなく20周年を迎えるお店で飲ませていただいた。残念ながら20年通えているわけではない。
20年に追いつくにはまだ2、3年かかる。そのころにはお店も2、3年を重ねていて永遠に追いつけない。
時間というのはそういうもので、2、3年という距離がだんだんと小さくなっていくのを待つしかない。長くつきあうのが大切ということになるのだろうか。

スコッチウィスキーのシングルモルトで著名な銘柄のひとつ、アードベッグ。
身近にいる酒飲みのあいだでは軽く「クサい系」と呼ばれている。この系統のお酒をはじめて紹介してくれたひとは「クレゾールくさい」と表現していて、上述のまもなく20周年の店で知り合ったひとは「歯医者のにおい」という。英文で検索してみると"medicinal"と表現されるので、どのような匂いなのかはおおよそ想像がつくと思う。

特に深い理由はないのだけれども、もともとアードベッグはほとんど飲まない。「クサい系」としてはじめて口にしたのがラフロイグで、主にそちら飲む習慣になっている。検索でバーを探すとき、ラフロイグ10年にいくらの値づけをしているかで、その店の価格帯の手がかりとしている。ラフロイグの値段はしばしば書かれているが、アードベッグが明記されていることは経験的に少ない。

そのアードベッグが10年まえの1998年に蒸留したものを熟成させた。
6年熟成を「ベリーヤング」、8年熟成を「スティルヤング」、9年熟成を「オールモストゼア」として順次発売し、10年熟成を「ルネッサンス」と命名して発売した。
ネーミングとしては「オールモストゼア」がなんとも洒脱で秀逸。「ルネッサンス」は集大成としての自負と、完結ではない未来への展望の含意か。
昨年「オールモストゼア」の個性に魅力を感じたものの、結局「ルネッサンス」のバランス感覚に落ち着いてしまった自分が、なんともくやしい。わかりやすいオチに自らはまりこむのは居心地が悪い。そんなことを感じつつ、「ルネッサンス」をふたたび味わった夜だった。

ところでとなりのマーテルは「ルネッサンス」のまえにカクテル、ヤングマンをいただいた名残。ヤングマンからルネッサンスへの連携。別に意識していたわけではないのだけど、ゆるやかにアードベッグのテーマをたどったことにはなるのか。あるいは無関係か。

この店がこの街にオープンした20年まえ、この街に通うようになった。そう思うと、自分にとっても20周年であり、奇しくもマスターとは同い年だ。
20年まえ、ベリーヤングというほど若くはなかった。20年後の今、よい意味でも悪い意味でもスティルヤングなところがあるように感じる。いつかオールモストゼアとなるのだろうか。そしてルネッサンスははるか彼方であろうし、そうあってほしい。まだまだスティルヤングと思いたい。

いずれにせよ、永遠に縮まることのない距離を埋めるために、これからも年数を重ねていくのだろう。

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