交通渋滞の発生機構～ホルモン焼き屋より

渋滞は、流れている自動車が徐々に流れにくくなってくるという段階的な現象ではなく、水が氷になるような「相転移現象」なのだそうです。
渋滞していない状態と渋滞状態は水と氷のように明確に区別することができる状態で、水の場合、温度によって状態が決まるわけですが、交通渋滞の場合は密度によって決まってくるとのことです。
ここでのポイントは交通量ではなく、密度であるということ。自動車がどれだけたくさん走っているか、ではないんですね。帰省ラッシュとかの交通量の極端に多い日でなくとも渋滞は起きるわけです。って、経験的に当然のことですよね。
とはいえ、相転移現象として交通渋滞をみる理論的な背景があって、それを実験的に確認したという論文が発表されたわけです。当然と思えることも、その発生機構を明らかにする意義はありますよね。

交通量と密度の関係について補足しておけば、同じ距離の区間に同じ台数の自動車があれば密度は同じです。同じ台数であっても区間の距離が短くなれば密度は上昇します。台数が多くなくても短い区間に集中すれば高密度になります。
その密度が“臨界密度”を超えると渋滞に相転移する、臨界温度０度より温度が低くなると水は氷に相転移する、わけです。
水が凍るとき“過冷却”という現象が発生することがあります。０度以下になっても水のままで凍らない状態です。同様のことが交通渋滞でも起こっているらしいという高速道路での実測データもあるそうです。臨界密度を超えても渋滞状態にはならない。
水と氷と渋滞という全く違ってみえる現象に同じような状況が発生するのは、なんか、ちょっと面白くないですか?

上述の論文の共同研究者のひとり、大阪大学の菊地誠先生がご自身のブログ、kikulogで紹介されています。
あまり間違った説明はしたくないので、くわしくはそちらを参照してください。

渋滞の論文が出ました(または相転移現象としての交通渋滞):
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1204620156

数と密度 (渋滞論文の話の続き):
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1204861899

さらに渋滞の続き:
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1205048385

ところで先日、ソウメンを食べたのです。それも流しソウメン。
そして確かに流れてはいたのだけど、回っていたのです。ま、要は流しソウメンのおもちゃですな。

その流れる様子をみていると、ソウメンの量が少ないときは水の流れを視覚化したかのようにきれいに素早く流れるのだけど、あるていど多くなるとゴチャッとした塊になって、スピードが落ちる。
あたりまえったらそうなんだけど、それを見ていて、この交通渋滞の話を思い出したのでした。
この流しソウメンの様子は「相転移現象」でしょうか?　 もしそうだとすると、やはり密度で決定されそうですね。
ちなみに「ソウメンの量」と書いてますが、ここではグルッと回る一定のコースなので区間の距離は一定。量と密度は比例関係があるといえるでしょう。

今さらですし、おそらくそういうことだとお気づきとは思いますが、タイトルにあるホルモン焼きの話が出てこないですよね。
そのとおり。ホルモン焼き屋になぜか流しソウメン器があったのです。あの、ちょっとだけ面白そうだけど、絶対自分では金を出して買いたくないような、あのおもちゃの流しソウメン器が。たまたま、ただそれだけ。

渋滞と水の相転移。一見関係のなさそうなものごとが似たような現象を見せるのは面白いけど、正直、交通渋滞とホルモン焼き屋になんら関係はないのです。
看板にイツワリありな投稿で申しわけありません。
（もし関係性を見出すことができた方がいらっしゃいまししたら、ぜひコメントを残してください）

ツーリングのようにグループで走っていなければ、普通、自動車どうしのあいだに関係はありません。なのでそれぞれ勝手に走っていくわけですが、密度が高まってくると、車間距離とかは気にするようになりますよね。これって“ゆるやかな接続”?
渋滞状態になって速度がゼロに落ちて塊状になったとしても、自動車どうしの関係って「車間距離」くらいのご縁しかないないですよね。知り合いでも友だちでもない、その場かぎりのたまたまで、それ以上深まりようもない関係。そんな関係って“ゆるやかな接続”?
その“ゆるやかな接続”が目に見える現象に発展したのが渋滞だったりするのでしょうか。
……いや、なんか、話がスリ変わったような気がするな。密度の話のはずが、車間距離の話になっているし。